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書籍検索あそび込む保育をつくる
実践から探る「保育の知」
内容
あそびは、だれかに押しつけられるものではなく、子どもが自ら気持ちを向けることで成立します。子どもは、あそびたいからあそぶのであって、おとながあらかじめ予想したとおりにあそぶわけではなく、おとなの予想外の展開こそ、保育の醍醐味でもあります。
こうしたおとなのあそび観を問い直す作業を含め、子どもが夢中になって「あそび込む」姿の中に、子どもの吐露した言葉、あるいは吐露できなかった言葉、そして子どものようすを保育者とともに丹念にとらえ、保育者の迷いや悩み、さらに失敗を含めて、保育者が日頃行っている実践の中に、子ども理解の手がかりとした「保育の知」を見いだし、今、子どもに必要なことは何かを探究していきます。
目次
第1章 「つぶやき」に子ども理解の手がかりを見いだす
1 子どもを理解しようとする姿勢――進級への不安を読みとる
2 ちょっとこわいけど、どきどきして、わくわくする――なかあてを見ている子どもの気持ちを推測する
3 子どもの気持ちにふたをしたくない――ひりひりする言葉から学ぶ
第2章 経験を共有し、楽しさを分かち合う仲間
1 仲間に必要とされる経験――オニごっこでつかまっても逃げようとするケント
2 仲間の体験を大切にする――リレーのバトンをつなぐために
3 おもしろさを伝える仲間の存在――あそびの中で見せる子どもの姿を楽しむ
4 自分の発想が伝わる喜び――マット取りの作戦を認め合った子どもたち
5 共有体験を経て理解しあう――『エルマーのぼうけん』の道具づくりと探検あそび
6 あこがれの気持ちが仲間をつなぐ――葉っぱ集めと作品づくり
7 非日常を共有する――宿泊行事をとおして大きくなる
第3章 「子どもとつくる」という視点
1 子どもと正面から向き合う――新しい宿泊行事のあり方を模索した保育者たち
2 「やってみよう」の気持ちを育てる――ダンゴムシへの興味から広がるあそび
3 子どもにとっての必然性――自分たちのリレーをつくる
4 子どもにとっての安心できるあそび――縫いものとリレーを往復する子どもたち
5 生活を彩るファンタジーーー素話からはじまった、ちゅうたろうの物語
6 ふしぎ心のもつ力――忍者の世界を楽しんだ子どもたち
第4章 あそびをとおしてつながり合うおとなたち
1 若手保育者を支える――忍者あそびの裏側をのぞく
2 子どもと正面から向き合うために――子どもの見方、捉え方をほぐしてくれる仲間
3 子どもの声を聴くために――コマ回しで見せる子どもの葛藤を受けとめる
4 子どもの姿を保護者と喜びあうために――子どもをよく知る保育者だからできる運動会の実況中継
5 地域の中で育つ子どもたち――散歩先での出会いがあそびを豊かにする
6 地域のプロの手をかりる――さまざまなおとなに支えられた野菜づくり
あとがき
著者の略歴
田中浩司(たなかこうじ)
東京都立大学人文社会学部准教授。博士(教育学)。専門は、発達心理学・保育学
保育者と「共に学ぶ」ことをモットーに、実践現場に身を置きながら研究を行っている。主な著書に、『集団遊びの発達心理学』(北大路書房 2014年)、共著に『仲間とともに自己肯定感が育つ保育』(かもがわ出版 2013年)、『発達障害児・気になる子どの巡回相談』(ミネルヴァ書房2008年)
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