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日本社会と保育の未来
内容
経済の論理から人間の論理へ! 今ここにいる子どもたちのために、国・自治体、そして保育者と親の果たすべき「責任」のありようを問いかける。
≪経済・労働システムの転換と保育制度改革/新時代の保育の公共性をデザインする/時代を拓く保育者の専門性、他≫
目次
はじめに
1 「ホイクノヒト」の苦悩と喜び
2 拡大する保育者の苦悩とジレンマ
3 子育てがうまくできない親と、そんな親を許せない保育者と
4 「子どもへの責任」を起点に保育・幼児教育制度をデザインする課題
第一章 歴史の中の保育・幼児教育制度
1 戦後改革期における保育制度一元化論
2 保育所は労働力再生産を便益ならしめる施設である
3 戦後保育・幼児教育制度改革の構図と実際
4 「運動」と「行政」との相克関係の中で
5 ポスト工業化社会の保育・幼児教育制度論
第二章 経済・労働システムの転換と保育・幼児教育制度改革
1 保育機能拡充政策は少子化対策として展開されたのか
2 保育・幼児教育制度改革を規定した経済・労働政策
3 世界的に進展する「労働力の女性化」と保育制度改革
4 専業主婦優遇政策の廃止で加速する「男女共働き」型社会
5 新時代に準備される男女共に不安定な労働市場
6 経済政策を起点に展開する保育・幼児教育制度改革
第三章 問い直される「子どもへの責任」
1 政策と運動を支える理念が近接する中で
2 「公共原理」か「市場原理」かという新たな選択肢の登場
3 競争原理を牽引するイコールフッティング論
4 規制緩和の徹底と急展開を見せる幼保一元化問題
5 規制緩和論者が給食室と株式会社にこだわる理由
6 バウチャーシステムへのこだわりと保育市場化路線
7 保育サービスの受益者は親なのか子どもなのか
8 保育機能拡充政策の中で広がる四つの矛盾
第四章 子育て支援政策の光と影
1 課題としての子育て支援
2 自分は親になっていいんでしょうか
3 戦後家族が遭遇した家族機能の三つの変化
4 戦後家族第三世代の矛盾と葛藤
5 親と子どもの「自分探し」と「自分づくり」
6 子育て支援政策の展開
7 子育て支援政策の二重構造
第五章 新時代を想像する保育の公共性をデザインする
1 「市場原理」VS「公共原理」の図式の中で
2 三種類に類型化される保育の公共性
3 共同体的人間関係を基礎とした保育公共性再構築の課題
4 保育公共性の理論的根拠としての親権組織化論
5 保育の公共性を支える責任の四重構造
6 保育の公共性を支える国の責任
7 子育ての夢を形にする保育行政専門家の仕事
8 この時代を生きる大人たちの、子どもへの責任
第六章 時代を拓く保育者の専門性と実践力量を問い直す
1 保育機能拡充政策と保育者の専門性との間
2 「マイナーな専門性」と特徴づけられた保育者の専門性
3 「マイナーな専門性」と第三者評価制度との間
4 「職人芸」としての保育実践からの転換?
5 職人の仕事と保育者の仕事と
6 保育の本質は保育者と子どものと接触の機微
7 技術的熟達者としての保育者と、反省的実践家としての保育者と
おわりに
著者の略歴
加藤繁美(かとう しげみ)
1954年、広島県生まれ。名古屋大学大学院教育学研究科博士前期課程修了。大学院では教育行政及び制度研究室に所属し、保育・幼児教育制度に関する研究を展開するとともに、保育実践の理論的・構造的研究に取り組む。博士後期課程在学中に山梨大学教育学部講師として着任。同大学助教授、教授を経て、2018年退職。山梨大学名誉教授。2018年より東京家政大学子ども学部教授。
おもな著書に、『子どもの自分づくりと保育の構造』(ひとなる書房、1997年)、『子どもへの責任』(ひとなる書房、2004年)、『保育者の現在』(共著、ミネルヴァ書房、2007年)、『対話的保育カリキュラム〈上・下〉』(ひとなる書房、2007・2008年、2010年日本保育学会保育学文献賞受賞)、『子どもとつくる保育年齢別シリーズ(0~5歳児保育)』(監修、ひとなる書房、2011~2016年)他多数。
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