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子どもへの責任

日本社会と保育の未来

著・編: 加藤繁美

国・自治体、 保育者と親の
果たすべき責任を問う

  • シリーズ

    保育の教室シリーズ
  • 発行日

    2004年 6月

  • ISBN

    978-4-89464-075-7

  • 判型

    四六判

  • ページ数

    240ページ

  • 定価

    1760円(本体1600円+税)

内容

経済の論理から人間の論理へ! 今ここにいる子どもたちのために、国・自治体、そして保育者と親の果たすべき「責任」のありようを問いかける。
≪経済・労働システムの転換と保育制度改革/新時代の保育の公共性をデザインする/時代を拓く保育者の専門性、他≫

目次

はじめに
 1 「ホイクノヒト」の苦悩と喜び
 2 拡大する保育者の苦悩とジレンマ
 3 子育てがうまくできない親と、そんな親を許せない保育者と
 4 「子どもへの責任」を起点に保育・幼児教育制度をデザインする課題
第一章 歴史の中の保育・幼児教育制度
 1 戦後改革期における保育制度一元化論
 2 保育所は労働力再生産を便益ならしめる施設である
 3 戦後保育・幼児教育制度改革の構図と実際
 4 「運動」と「行政」との相克関係の中で
 5 ポスト工業化社会の保育・幼児教育制度論
第二章 経済・労働システムの転換と保育・幼児教育制度改革
 1 保育機能拡充政策は少子化対策として展開されたのか
 2 保育・幼児教育制度改革を規定した経済・労働政策
 3 世界的に進展する「労働力の女性化」と保育制度改革
 4 専業主婦優遇政策の廃止で加速する「男女共働き」型社会
 5 新時代に準備される男女共に不安定な労働市場
 6 経済政策を起点に展開する保育・幼児教育制度改革
第三章 問い直される「子どもへの責任」
 1 政策と運動を支える理念が近接する中で
 2 「公共原理」か「市場原理」かという新たな選択肢の登場
 3 競争原理を牽引するイコールフッティング論
 4 規制緩和の徹底と急展開を見せる幼保一元化問題
 5 規制緩和論者が給食室と株式会社にこだわる理由
 6 バウチャーシステムへのこだわりと保育市場化路線
 7 保育サービスの受益者は親なのか子どもなのか
 8 保育機能拡充政策の中で広がる四つの矛盾
第四章 子育て支援政策の光と影
 1 課題としての子育て支援
 2 自分は親になっていいんでしょうか
 3 戦後家族が遭遇した家族機能の三つの変化
 4 戦後家族第三世代の矛盾と葛藤
 5 親と子どもの「自分探し」と「自分づくり」
 6 子育て支援政策の展開
 7 子育て支援政策の二重構造
第五章 新時代を想像する保育の公共性をデザインする
 1 「市場原理」VS「公共原理」の図式の中で
 2 三種類に類型化される保育の公共性
 3 共同体的人間関係を基礎とした保育公共性再構築の課題
 4 保育公共性の理論的根拠としての親権組織化論
 5 保育の公共性を支える責任の四重構造
 6 保育の公共性を支える国の責任
 7 子育ての夢を形にする保育行政専門家の仕事
 8 この時代を生きる大人たちの、子どもへの責任
第六章 時代を拓く保育者の専門性と実践力量を問い直す
 1 保育機能拡充政策と保育者の専門性との間
 2 「マイナーな専門性」と特徴づけられた保育者の専門性
 3 「マイナーな専門性」と第三者評価制度との間
 4 「職人芸」としての保育実践からの転換?
 5 職人の仕事と保育者の仕事と
 6 保育の本質は保育者と子どものと接触の機微
 7 技術的熟達者としての保育者と、反省的実践家としての保育者と
おわりに

著者の略歴

加藤繁美(かとう しげみ)
1954年、広島県生まれ。名古屋大学大学院教育学研究科博士前期課程修了。大学院では教育行政及び制度研究室に所属し、保育・幼児教育制度に関する研究を展開するとともに、保育実践の理論的・構造的研究に取り組む。博士後期課程在学中に山梨大学教育学部講師として着任。同大学助教授、教授を経て、2018年退職。山梨大学名誉教授。2018年より東京家政大学子ども学部教授。
おもな著書に、『子どもの自分づくりと保育の構造』(ひとなる書房、1997年)、『子どもへの責任』(ひとなる書房、2004年)、『保育者の現在』(共著、ミネルヴァ書房、2007年)、『対話的保育カリキュラム〈上・下〉』(ひとなる書房、2007・2008年、2010年日本保育学会保育学文献賞受賞)、『子どもとつくる保育年齢別シリーズ(0~5歳児保育)』(監修、ひとなる書房、2011~2016年)他多数。

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