ナラティブで編む保育の物語
「私」を出し合って、子ども・同僚とつながる(子どもとつくる保育の探究①)
同僚と語り合ってみたくなる
保育の記録とは
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シリーズ
子どもとつくる保育の探究 -
発行日
2026年1月20日
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ISBN
978-4-89464-318-5
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判型
A5判
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ページ数
192ページ
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定価
2,750円(本体2,500円+税)
内容
今日一番のうれしい出来事を、胸にたまったモヤモヤを、ひとまず言葉にしておこう。そうやって綴られた「ナラティブ」は、同僚の率直な応答を呼び起こし、ありのままの「私」を出し合える信頼の土壌となっていく。ある新設園が見出した「互いの保育を共有する」新しいかたち。
「寄稿:ナラティブツリーで味わい合う保育(岩田恵子)」より一部抜粋
ナラティブを読んでいると、「子ども」が見えてくるのはもちろん、語っている「私」も見えてくることがとても心地よく、意味あることだと感じます。子どものことを語らねばならぬではなく、むしろ、そのような子どもに出会う「私」があらわれる、つらいことも弱みも率直に書かれているからこそ、呼応するナラティブが生まれるのかもしれません。「私」が語り、それに共鳴した「私」が語ることで、信頼関係が育っていく。さらに今は「語れない」選択もできる関係が、この園の居心地のよさをつくっていくのだと思います。
推薦文「ようこそ、保育の森へ」
子どもと生きる瞬間を、その手ざわりのままに描きたい――倉橋惣三や津守真らが追い求めた記述の世界、その試みにあふれた一冊。何かを「する」よりも、「いる」ことを基底においた実践が生みだす全体性(エコロジー)がみえてくる。保育界で数年に一冊あるかないかの実験的な本(優れた本)ではないでしょうか。
川田学(北海道大学子ども発達臨床研究センター教授)
2026年1月中旬発売予定です。最寄りの書店様、ネット書店様からぜひご予約ください。
目次
第一章 ナラティブツリーことはじめ
第二章 異年齢での暮らし〜上町しぜんの国の場合〜
第三章 保育のポリフォニー
第四章 ナラティブはナラティブを呼ぶ
目次全文
プロローグ 臨床を脆さのままに、ひらく
上町しぜんの国保育園 園舎見取り図
第一章 ナラティブツリーことはじめ
・開園前、一人で梅を見ていたころ
・ナラティブを始めるきっかけ
・上町流ナラティブフォーマット―書いて、ためて、応答して
私たちの「ごたごた期」と、出会いの小咄
私、こんな人
第二章 異年齢での暮らし〜上町しぜんの国の場合〜
・談志と事象と異年齢保育
あかちゃんといるっていうこと
食からの風景
都合と不都合の粘り合い
触れる
幕間 保育者の「私」
第三章 保育のポリフォニー
混沌ふつふつ
どうどう、葛藤
世界と子どもとの間
街と保育のポリフォニー
第四章 ナラティブはナラティブを呼ぶ
・夜の言葉、沈黙、言葉の腐葉土
子どもに呼びかけられる私
揺らされる、私
「いい保育」がしたい!
ナラティブはナラティブを呼ぶ
・コロナの中の同僚性
補論 物語と「まとまらない言葉」との往還―ナラティブツリー前史
エピローグ ナラティブは続く
寄稿 ナラティブツリーで味わい合う保育 岩田恵子
謝辞・初出一覧
著者の略歴
青山誠(あおやま まこと)……ナラティブ執筆・編纂、本文執筆
社会福祉法人東香会保育統括。2019年より上町しぜんの国保育園園長を務めた後、2024年より現職。日々、現場の職員や園長たちと保育を語り合い、悩み……結局答えはでないので、子どもの間をふらふらしています。また最近は保育以外のジャンルの方とも対話を重ねています。著書に『10のステップでできる子どもたちのミーティング』(フレーベル館)、『子どもをあらわすということ』『ニューロマイノリティ』(共著、北大路書房)、『保育「きほんのき」』(小学館)など。
上町しぜんの国保育園職員……ナラティブ執筆
東京都世田谷区にある認可保育園。「子どもの声に耳を澄ませること」を大切に保育しています。おとなも子どもも生き生きと暮らし合うために、「ナラティブツリー」のほか、0歳からの異年齢保育や4、5歳児の「ミーティング」にも取り組んでいる。
岩田恵子(いわた けいこ)……寄稿
玉川大学教育学部乳幼児発達学科教授。発達心理学、児童学。子どもも大人もかかわりあい学びあう保育のおもしろさを探究中です。著書に『「子どもがケアする世界」をケアする――保育における「二人称的アプローチ」入門』(共著、ミネルヴァ書房)、『子どもの遊びを考える――「いいこと思いついた!」から見えてくること』(共著、北大路書房)など。
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