本の検索
書籍検索暮らしの保育
異年齢保育の先に見えてきたもう一つの保育論
内容
子どもを育てるものは暮らしの必然性ではないか
「学校」モデルの年齢別保育とは違う、1歳~5歳の異年齢保育に取り組むと、保育の風景が一変します。見よう見まねで子どもが自ら育とうとする姿や、互いに助け合い育ち合う姿が、あたりまえになります。保育者の子どもを捉える視点や振る舞いも、大きく変わっていきます。何より、園に安心感が満ち、誰にとっても居心地のよい場になります。そこに生まれた保育を、私たちは「暮らしの保育」と名付けました。
12月17日頃発売予定です。ぜひ書店様、ネット書店様からご予約ください。発売日以降は本ホームページからもご購入可能です。
目次
序章 異年齢保育新段階――安心感を土台にした〈おうち〉モデルの「暮らしの保育」
1 異年齢保育新段階そして新時代――量的広がりと質的深まり
2 1〜5歳の異年齢保育の変遷――安心感を土台にした〈おうち〉モデルの「暮らしの保育」
Ⅰ 「暮らしの保育」の風景
第1章 台所と食卓を暮らしの真ん中に――三島奈緒子実践(きたの保育園)から
1 保育室にキッチンがある食の風景――ごはんは各〈おうち〉の炊飯器で炊きます
2 食の原風景――台所の大人は、給食の時間は子どもの食事におつきあいします
3 大皿盛り――自分で決めて他者と分かち合う
4 人生に必要な知恵はすべて食卓で学んだ
5 台所職員の子どもへのまなざし――食の専門家、一味違った子ども好きな大人
6 暮らしを「食」から「衣」や「住」(家事的作業)に広げることも
第2章 暮らしとしての「季節と天気」「ご近所」、人間模様としての「1歳児」――石坂聖子実践(ひまわり保育園)から
1 季節を織り込んだ暮らし
2 ひまわり長屋の「ご近所づきあい」
3 1歳児がいるのが当たり前の暮らし
Ⅱ 「暮らしの保育」の子どもの育ちと大人のまなざし
第3章 「子ども理解」から「子どもへのまなざし」へ――子どもは理解の対象でしょうか?
1 「子ども理解」への違和感
2 子どものことは、子どもがよく知っている
3 「直接理解」より「間接理解」
4 少し先と前の自分と重ね合わせて実感的にお互いを知っていく
5 子どもが大人をどう見ているかを知る
第4章 発達論的「理解」から実感的「理解」へ――子どもは手持ちの力で今を精一杯生きている
1 発達保障:異年齢保育は異年齢でも同年齢でも育つお得な保育
2 発達課題:「やりたくなった時がやり時(どき)」
3 目の前の子どもたちの姿から「実感として」発達を理解する
4 「どんな姿もその子」と多面的に見ます
5 異年齢保育(暮らしの保育)の発達論を
第5章 変化する大人のまなざし――「知る」「気にかける」「拾う」「距離感」
1 子どもを「理解する」ではなく「知る」
2 子どもの声は「聴く」より「拾う」
3 「わかろうとする」よりも「気にかける」
4 「気にかける」とは「ちょっと知っている」「作業しながら見ておく」
5 「困ったら言ってきてね。それまでは好きにしていいよ」という距離感
Ⅲ 「暮らしの保育」の構えと振る舞い
第6章 育ちの基盤としての「形成」
1 子どもは大人の暮らしの傍らで育つ
2 子ども同士「見よう見まね」で育ち合う
3 「教育の意図性」より「暮らしの必然性」「結果としての育ち」
4 「暮らしの保育」と「不適切保育」の問題
第7章 大人の構えと振る舞い――「願いをいったん横に置く」「重ねる、半身で暮らす」
1 「差」と「幅」と「気分」を認めて「時間帯」で保育する
2 一呼吸置く・願いを横に置く・間合いをはかる
3 学校的「話し合い」から村の寄り合い的な「話し込み」へ
第8章 大人同士の付き合いとコミュニティ――暮らしの保育に「先生」はいません
1 先生とは呼びません――名前や愛称で呼び合う間柄
2 保育園は「職場」であると同時に「暮らしの場」
3 保護者との間柄――一人の人間として、対等な子育てパートナー
第9章 過疎地の小規模・異年齢保育の魅力――地域も元気にする「屋根のない保育園」
1 小規模・少人数の保育は理想的な保育条件
2 条件的異年齢保育から自然体の異年齢保育へ
3 異世代交流とセットの「混ぜこぜ社会」「混ぜこぜ保育」
終章 「暮らしの保育」――まとめと検討課題
1 異年齢保育の先に見えてきた「暮らしの保育」
2 「暮らしの保育」の検討課題
3 「人間模様スケッチ」の提案(紹介)
4 「暮らしの保育」の発達論構築のために
【引用・参考文献】
寄稿1 「暮らしの保育」の夜明け 小山逸子
1 待ち望んでいた出版――異年齢保育では語りきれない「暮らしの保育」
2 「暮らしの保育」は、地域あってのものです
3 きたの保育園の「暮らしの保育」への道のり
4 未知の世界を共に創りあってきた土台は話し合いと学習でした
「暮らしの保育」をさらに深めるために――小山さんの「寄稿」を受けて〈宮里六郎〉
寄稿2 異年齢保育の背景と年齢別保育との関連 渡邉保博
1 保育・幼児教育における年齢別クラス編成をめぐって
2 年齢意識と今日の保育・幼児教育の問題
3 年齢別保育と異年齢保育との関連
著者の略歴
宮里 六郎(みやさと ろくろう)
1955年、鹿児島県種子島生まれ。中央大学文学教育学科卒業、東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。2020年年熊本学園大学社会福祉学部子ども家庭福祉学科退職、現在熊本学園大学名誉教授。専門:保育学。熊本異年齢保育研究会代表、全国保育問題研究会異年齢保育分科会運営委員。
主な著書:『里山の保育―過疎地が輝くもう一つの保育』(編著、2020年、ひとなる書房)『「子どもを真ん中に」を疑う―これからの保育と子ども家庭福祉』(単著、2014年、かもがわ出版)『保育に生かす実践記録―書く、話す、深める」(共著、2006年、かもがわ出版)『「荒れる子」「キレル子」と保育・子育て―乳幼児期の育ちと大人のかかわり」』(単著、かもがわ出版、2001年)
●寄稿
小山 逸子(こやま いつこ)元きたの保育園園長
「『ずーっと居たくなる暮らし』を求めて」『季刊保育問題研究』全国保育問題研究協議会編集委員会編、319号、新読書社、2023年他
渡邉 保博(わたなべ やすひろ)元佛教大学教授、静岡大学名誉教授
『「寂しい人のいない」保育園づくりと生活保育の探究:学校との関係を問い続けたある保育園の実践史に学ぶ』新読書社、2023年他
読者からの声
下記フォームからぜひご投稿ください。