
塩崎美穂さんをはじめとする小社刊行書籍でもおなじみの研究者グループが、このほど論文集『イタリアの保育を旅する――民主主義にもとづく公的保育の創造に向けて』を、北海道大学教育学研究院附属子ども発達臨床研究センターが発行する紀要にまとめました。日本、イタリア、ニュージーランドの保育を比較研究する一環として2023年2月に行ったイタリア視察を特集したもので、同大学のサイト内から閲覧することができます。「プロジェクト保育」「ローカル・ガバナンス」「フル・インクルーシブ」などと名指される実践や制度は実際にはどんな姿をしていて、なぜ、どのようにして生まれたのか、その思想や哲学にせまり、民主主義と保育をめぐる国際的な論争と切り結ぶ内容となっています。
海外視察には保育者や学生が同行するのがこの研究グループの特徴。研究者とは異なる感性がとらえたディテール、違和感と共感、自分の保育を思い浮かべながら考えたことが、その場で研究者と交流され、両者の視点が磨かれ、深まるのです。じつは、この保育者・学生のみなさんも、旅の直後にそれぞれレポートをまとめています。より多くの保育関係者や読者の目にとまり、議論のきっかけとなるよう、本HPにて特別公開させていただきます。ぜひ紀要と合わせて読み、研究者と実践者の共同研究のライブ感をお楽しみください。
◆研究グループと執筆者の了解のもと、執筆当時のまま掲載しています。無断転載・転用はご遠慮ください◆
保育者・学生レポート
イタリアの保育現場で感じたこと ~自分の言葉で保育を語る~(上田隆也)
フィレンツェ視察レポート ―セリストーリー幼児学校―(片岡卓久)
元小学校、幼児学校教師にインタビューをして(武藤栄治)
都市計画に基づいたグリーンチルドエリア(伊藤シゲ子)
イタリア視察報告(レッジョ・エミリア)(山崎寛子)
グアスタッラの市立保育園「IRIDE」(2/20) を見て(江本周華)
2023年イタリア旅の概要
〈メンバー〉(敬称略)
研究者――塩崎美穂、加藤繁美、川田学、岡花祈一郎、赤木和重、吉川和幸
保育者・学生――伊藤シゲ子、武藤栄治、上田隆也、片岡卓久、江本周華、山崎寛子
〈訪問先〉
2月13日【フィレンツェ】セリストーリ幼児学校
2月14日【フィレンツェ】ペスタロッツィ学校;国立学校(公立小中学校)、フィレンツェ市教育課
2月15日【フィレンツェ】幼児学校+保育園(0-6総合型保育施設)
2月16日【ピストイア】青のエリア、市庁舎、赤のエリア
2月17日【ピストイア】緑のエリア、ラゴマゴ保育園、ドラゴン幼児学校
2月20日【レッジョ・エミリア】イリデ保育園
2月21日【フィレンツェ】捨て子養育院、イノチェンティセンター
〈研究助成〉
科学研究費補助金・基盤研究(B)「日本・ニュージーランド・イタリアにおける保育カリキュラムの創造と評価の研究」(研究期間:令和3(2021)年度~令和7(2025)年度,課題番号:21H00846/23K20695,代表者:塩崎美穂