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保育は人 保育は文化

ある保育園民営化を受託した保育園の話

著・編: 平松知子

どんな時も子どもを育て
大人をつなぐ保育を伝えたい

  • 発行日

    2010年3月

  • ISBN

    978-4-89464-146-4

  • 判型

    A5判

  • ページ数

    112ページ

  • 定価

    838円(本体762+税)

内容

 「民営化は国の流れだからしかたがない?」「ちゃんと引き継ぐから保育の質は変わらない」――とんでもありません。保育は、建物と数字をそろえればよいというものではないのです。
 名古屋ではじめて起きた公立保育園民営化に直面した私たちは、そのことに全力で反対しつつ、子どもたちを守るために受託に手を挙げ、受託園となりました。そして引き継ぎ保育の中で、子どもにとっても、親にとっても、ちゃんとわかってもらえているという安心感がどれだけ大事かということをくり返し突きつけられ、「保育は人、保育は文化」なんだということに、改めて確信にしました。
 私たちがたくさんの人のつながりに支えられたように、今まさに各地で子どもを守ろうと全力でふんばっておられる方たち、待機児童対策と制度改革に揺れる保育行政に携わっておられる方たちに、だれもが傷を負う民営化の現実と、どんな時も子どもを育て大人をつないでくれる保育のすごさを伝えたいと思い、この本をまとめました。
 この国で生きるすべての子どもたちが、笑って暮らせる社会をつくるために。

目次

はじめに
第1章 則武保育園廃園民営化発表――それは、突然やってきた
 師走の通達
 法人の決意
 反対運動と立候補バッシング
 決意を確信にして
 職員の団結
第2章 引き継ぎ保育――保育は人、保育は文化
 お互いを知るところから
 引き継ぐべきは「わかってもらっているという安心感」
 一年間の職員派遣の実現
 自分たちと違う保育にふれる喜び
 法人の保育は封印?
 心を砕いた子どもたちへの話
 受託法人の本園もたいへん!
第3章 けやきの木保育園開園――マイナスからのスタート
 「のりたけほいくえ~ん、ぼくたちいってくるからね!」
 子どもたちの苦しさ
 開園直後の保育づくり
 二つの保育計画
 「苦情」に込められた親の思い
 やっぱり保育!
 則武らしさの継承とけやきの木らしさの創造
 職員集団の葛藤
 公も民も子どもへの思いに差はない
第4章 受託園から見えた『公的保育』と『民営化』
 自治体が守ってくれなかった心の傷は、決して癒えない
 全国で広がる民営化が行き着く先は?
 公立保育園は公的保育のシンボル
第5章 どの子も笑って暮らせる社会を
 保育者魂は変えられない
 子どもにかかわるすべての人でつながろう
 保育をなめないでほしい
おわりに

著者の略歴

平松知子(ひらまつともこ)
1961年浜松市生まれ。家族の営む織物工場の片隅を遊び場に育つ。浜松市にある民間保育園、名古屋市にある社会福祉法人熱田福祉会のぎく保育園をへて、2007年より同法人けやきの木保育園園長、2022年3月退職。現在、同法人理事長。著書に『発達する保育園 子ども編』『発達する保育園 大人編』(いずれもひとなる書房、2012年)、『保育と憲法』(共著、大月書店、2017年)など。

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