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ジャンル:

保育の理論・研究

対話と保育実践のフーガ

時代と切りむすぶ保育観の探究

著・編: 加藤繁美

「喜びと希望」に満ちた
生き方を保障する保育とは

  • 発行日

    2009年8月

  • ISBN

    978-4-89464-140-2

  • 判型

    A5判

  • ページ数

    224ページ

  • 定価

    1980円(本体1800円+税)

内容

保育者の対話能力、保育の目標・計画・記録のあり方、個と集団の関係にも論をすすめ、子どもの中に生成する物語と豊かに対話する実践の構造を解き明かす。この時代に生まれた子どもたちに、「喜びと希望」に満ちた生き方を保障する保育実践とはいかなるものか。実践現場の豊かな蓄積と、「対話」の思想に深く心揺さぶられながら、保育を語る言葉を誠実に紡ぎつづけてきた著者の、苦悩と発見の過程。

目次

はじめに
   1 鳥の翼がどんなに完全でも、空気なしで鳥は飛ぶことはできない
   2 対話と保育実践のフーガ
第1章 保育実践と保育理論の間
   1 実践のリアリティー、理論のアイデアリティー
   2 保育観の二重構造
   3 私の出会った子どもと保育
   4 一年間、会話が成立しなかったジュンコの物語
   5 保育目標としての自分づくり
   6 保育実践の目標は子どもの中に見出される
第2章 「物語」としての保育実践
   1 保育実践論と物語論との接近
   2 「物語生成」としての保育カリキュラム
   3 「完成された地図」をどう描くか
   4 子どもと対話できる保育者、できない保育者
   5 保育者の対話能力
   6 保育実践における三つの物語
第3章 生成発展カリキュラムと保育の目標
   1 課題としての「集団の物語」
   2 イマージェント・カリキュラム
   3 レッジョ・エミリアの保育カリキュラム論
   4 アンナ・フランク幼児学校で展開された「恐竜」のプロジェクト
   5 幼児後期のカリキュラム構成原理としての生成発展カリキュラム
第4章 対話する保育実践の構造
   1 保育目標としての「民主主義的主権者」
   2 「実践の理論化」と「理論の実践化」と
   3 「対話という思想」との出会い
   4 「遊ぶ心」と対話する保育実践の多様性
   5 子どもの遊びにかかわる教育的関係の多様性
   6 「定型的な遊び」指導の得意な保育者と、「非定形的な遊び」を楽しめる保育者と
   7 内容論と関係論とで分類される、遊び指導の四つの側面
   8 保育実践を構成するカリキュラムの四重構造
第5章 ドキュメンテーションの効用
   1 保育者の対話能力と実践記録
   2 実践の記録をもとに保育実践をデザインするおもしろさ
   3 3歳児の「死んだごっこ」と対話を試みる保育者の苦悩
   4 「保育実践を支えるマクロの視点」の意義と役割
第6章 対話的保育カリキュラムを対話する
   1 面倒くさいんですね、保育って……
   2 面倒くさいもの、人間
   3 言葉で編まれた「物語」、身体に刻まれた「物語」
   4 保育目標概念としての「自分づくり」
   5「自分づくり」から「対話的主体」の形成へ
   6 保育目標としての民主主義
   7 日本におけるプロジェクトの可能性
   8 一回性と即興性に根ざした保育実践
終章 私の保育の物語
おわりに

著者の略歴

加藤繁美(かとう しげみ)
1954年、広島県生まれ。名古屋大学大学院教育学研究科博士前期課程修了。大学院では教育行政及び制度研究室に所属し、保育・幼児教育制度に関する研究を展開するとともに、保育実践の理論的・構造的研究に取り組む。博士後期課程在学中に山梨大学教育学部講師として着任。同大学助教授、教授を経て、2018年退職。山梨大学名誉教授。2018年より東京家政大学子ども学部教授。
おもな著書に、『子どもの自分づくりと保育の構造』(ひとなる書房、1997年)、『子どもへの責任』(ひとなる書房、2004年)、『保育者の現在』(共著、ミネルヴァ書房、2007年)、『対話的保育カリキュラム〈上・下〉』(ひとなる書房、2007・2008年、2010年日本保育学会保育学文献賞受賞)、『子どもとつくる保育年齢別シリーズ(0~5歳児保育)』(監修、ひとなる書房、2011~2016年)他多数。

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