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書籍検索ワクワクと安心の保育環境づくりへ
室内も園庭も、時間の流れ、人間関係も
内容
「走っちゃダメ!」「のぼっちゃダメ」「順番ね」……こんな言葉をかけ続けてしまうのは、環境に原因があるのかも。おとなも子どもも笑顔になるには、どこをどう変えていけばいいのか。園庭も室内も、乳児から幼児まで、各園の取り組みと、園のみんなで共有しておきたい視点を1冊にまとめました。
目次
Part1 ハラハラを減らし安心をつくりだす
1章 のぼる・おりる環境
1 滑り台
2 室内遊具
3 築山
4 棒を組み合わせた遊具
2章 わたる環境
1 ロープわたり
2 一本橋
3 水辺
3章 たまる環境
1 子どもが滞留する場所
2 のぼりきったその先
3 見晴らしを楽しむ遊具
4 硬い素材がむきだしの場所
5 使っていなかった場所
4章 歩く・走る環境
1 平坦な場所
2 異なる動線が行き交う場所
3 中と外をつなぐテラスや通路
5章 揺れる・まわる環境
1 ブランコ
2 網を使った空間
3 鉄棒
Part2 環境を捉え直す視点と考え方
1章 物的・空間的な環境の捉え直し
1 「動き」から考える物的・空間的な環境
2 自然と人工、そしてその中間としての園庭
3 「現実からかけ離れた状態」を整える
4 安心感がより得られる物的・空間的な環境に
2章 人的・心理的な環境の捉え直し
1 「関わる」を捉え直す
2 「環境整備」はひと同士の関係性も整える
3 共に暮らすおとなも心地よく
3章 時間という環境の捉え直し
1 行事・日課の見直し
2 時間の有効活用から考え直した保育環境
3 片づけの“呪縛”から逃れませんか
著者の略歴
木村歩美(きむら あゆみ)
おおぞら教育研究所代表。静岡市生まれ。静岡大学大学院修了後、公立小学校・幼稚園教諭、市教育委員会事務局員、指定保育士養成施設長、大学・短大非常勤講師などを経て、現在は主に保育環境を整えることにかかわる研修やワークショップの講師として全国を飛びまわる。編著書に『子どもが自ら育つ園庭整備』(ひとなる書房、2018)、『保育学を拓く』(萌文社、2012)、『子どもの育ちと環境』(ひとなる書房、2008)など。
読者からの声
子どもたちが安心して過ごせるよう、子どもたちのために。そういう願いをもって園庭改造をしたのだけれども。。築山を造ったものの、怪我に配慮し柵をし、一方通行の約束。リスクのある散歩をしなくてもと実のなる木を園庭に植え、どんぐりが実り落ちるのだけれど、次第に気に留めることも減り。改造前より狭くなったわずかな平地部分で無理に鬼ごっこをするため怪我が増えて。ますます約束が増えて。。こういった経験の中で一人で悶々とする保育者も多いのではないのでしょうか。
この本には沢山のヒントがありました。
一度園庭改造をしても、それが完成ではなく「今」であり、考え続けること。そして何より重要なのは、まわりにいる全てのおとなが「その子が自ら育っていくために必要な環境を整える責任」を負うことを恐れないこと。 そして、自分が引っかかったところ、納得がいかなかったことについて、「そのままにせず、表に出すことで、自身の安心感だけでなく、子どもの身を守ることにつながる」と。それもおとなの責任ですね。
本の終盤では、おとなはどうしてこうも片付けにこだわるのか、について。数えると12ページ。このページ数がまさにおとなたちの「呪縛」の量と比例しているような。。そうだそうだと自分の経験を思い出し頷いたり、逆に反省し恥ずかしくもありでした。
「before」「after」ではなく「before」「up-dating」「now」で。子どもだけでなくおとなたちもワクワクと安心の環境の中で過ごせるよう、子どもたちの顔を想像しワクワクしながら工夫していきたい、そして、大人になるっていいよというメッセージを醸し出せる居かたができる保育者でありたいと思います。素敵な本、ありがとうございました。
息苦しかった子どもたちの生活環境が、先生たちの働きかけで自由度を増していく。どこまで拡がっていけるのか、本当に楽しみです。ご本、早く見たいです。